歯周組織
歯根の周りには歯周組織があります。歯周組織はセメント質,歯根膜,歯肉,歯槽骨を合わせて構成されています。歯周組織があるからこそ、歯は安定感を得ることができます。それでは、歯周組織の構成要素について詳しく見ていきましょう。
セメント質は、歯根を覆う薄い硬組織です。このセメント質の組成は、約65パーセント無機質と約23パーセントが有機質から成ります。セメント質の内部にはセメント小体があります。このセメント小体からは、セメント細管が歯根膜に向かって伸びているのですが、これは歯根膜から栄養をもらうためです。また、セメント質は年齢を増すごとに厚くなっていきます。
歯根膜は、歯を歯槽骨の中にに固定する組織であり、歯周靭帯とも呼ばれます。歯根膜の主成分は線維芽細胞と細胞外マトリックスであります。歯根膜の血管系はセメント質に繊維を入り込ませて栄養を与えています。歯根膜には歯を歯槽骨を繋ぐという役割以外にも、また歯に対する圧力や触覚を認知する感覚受容器としての役割も持っています。
歯肉は歯槽骨と歯に付着する組織であり、歯茎とも呼ばれます。歯肉は部位によって性状が異なり、付着歯肉、辺縁歯肉、歯間歯肉に分けられます。付着歯肉とは歯槽骨に付着し、可動性のない部位の歯肉のことです。健康的な付着歯肉はきれいなピンク色です。辺縁歯肉は歯頸部の周りを囲み、歯肉溝を形成している部位の歯肉のことです。歯間歯肉は、歯と歯の間を埋める歯肉です。
歯槽骨は、歯根をその内部に入れて支えています。歯槽骨の「歯槽」とは、歯を入れ置く槽という意味を持っています。歯槽骨には、支持骨と固有歯槽骨があります。支持骨は、固有歯槽骨を支える役割を持ち、固有歯槽骨は歯を直接支える役割を持っています。