舌の蠕動運動
ヒトは舌の表面から食道の入り口までの高低差が大きくなってしまった。そのため舌上から嚥下物を食道へ送り込むタイミングと喉頭蓋が気道を閉鎖するタイミングをシンクロさせるのが難しくなった。そこで、舌の水てっぽうで嚥下物を積極的に咽頭へ打ち出し、このシンクロの問題を解決した。このため、基本的に流動性が高いものしか飲み込めなくなった。だから、ヒトの嚥下はゴクッッと非常に短時間に終わる。
ハンドピース
けれど、食塊を作って舌の蠕動運動でそれを喉へ移動させるという定説があるが、そもそも、ヒトは口腔の奥行きが取り立てて短い(顔の中にコンパクトに収まるほどに)。そんな奥行きのない口腔内の食塊の移動に蠕動運動が成立するだろうか。いや、そんなことやっていないと考えた方が自然じゃないのか。そして、この水てっぽう方式でも、固形物を送り込めないわけではないが、唾液と共々喉へ打ち出すには大きさに限界があるのではないだろうか。おそらくそれは、飲みぐすりのカプセルが参考になると思うが、調べてみると「000」という一番大きな規格のカプセルが全長約26.1mm、外形約9.55mmであることがわかった。結構大きなものだからたぶん、覚悟を決めて飲み込める限界近くが、この辺りなんだろう。