根管治療や再根管治療で病巣を治すことを「保存治療」と呼びます。それに対して、保存治療だけでは治らない場合に行うのが「外科治療」です。根管治療だけでは治らない歯に対して行う外科治療を、「歯内療法外科」と呼びます。
通常は、歯肉を切開して病巣を直接取り除きます。では、なぜ根管治療だけで治らないことがあるのでしょうか?
根管治療が奏功しない場合:
1.歯根膿胞
病巣の周りを上皮と呼ばれる膜が包むことで、風船状の膿胞がアゴの骨の内部に残ってしまい、感染源がなくなっても自然治癒しません。
2.歯根肉芽腫
病巣が線維質のかたまりである肉芽腫になってしまうと、膿胞と同様に自然治癒しません。
3.石灰化
根管の中にカルシウムがたまって管が狭くなったり、完全に塞がったりしてしまうことを石灰化といいます。細菌が閉じ込められたまま根管が石灰化してしまうと、器具が感染源に届かないので十分な根管治療ができません。
歯内外科治療方法:
1.CT撮影を行い病巣部の大きさや位置、 歯の根の状態を確認します。
2.局所麻酔をします。
3.切開して骨を露出させ、病巣部を除去し、この時一緒に歯根の先3mmも一緒に除去します。
4.切り取った歯根の切断面を特殊なセメントで封鎖し、切開した歯肉を元に戻し縫合します。
5.切り取った歯根の周囲は数ヶ月で骨できれいに覆われて治癒します。
外科的歯内療法は従来、肉眼で行っていたため成功率は約60%程度で決して高い成功率ではありませんでしたが、現在は歯科用ルーペ、超音波、バイオセラミックマテリアルなど(専門な根管治療機器)を用いた外科的歯内療法により成功率が格段に高くなります。