神経(歯髄)の反応は個人差が大きく、更に同じような処置でも反応は皆違います。
一般の外科でも手術の後には必ず「予後観察」を行なって、手術の成否を判断するように、歯科治療でも本来は予後観察を行なわなければならないのです。
ところが歯科ではこれまで「怪しければ抜髄」という風潮と「傷むのは薮医者」という風評によって過った常識が出来上がってしまいました。
これには歯医者の患者獲得の為に「前医者で痛いのは、腕が悪い」という嘘で患者を呼び込んでいたという悪しき習慣もありました。
予後観察においては予後良好もあれば予後不良も当然あります。
原因は様々ですが、単純な治療による刺激などであれば数日のうちに軽減します。
しかし、中度から重度になっていくと、投薬による軽減処置や、抜髄もありえます。
予後不良の場合、放置しても多くは回復せず、悪化の一途を辿ります。また一時的に痛みが消えて回復したように思えても、実際には悪化しただけで、ある日突然激痛か腫れるといった事もあります。
なので、どこかで抜髄の決断を取らなければならない場合もあります。(歯科用ハンドピース)
これから妊娠~子育てとなると、6ヶ月前後では比較的安定していますが、妊娠直後と、少なくとも出産後一年までは満足な治療が出来るか微妙です。もちろんレントゲンも最小限にとどめたいものです。
なので、未だに痛みがあるのなら、思い切って抜髄も視野に入れて診察を受けましょう。
ちなみに、未だに「神経を取ると歯が抜ける」と吹聴している歯医者がいますが、神経を取っても歯は抜けません。
歯は歯根表面が生きている限り異物として判断されないのです。
神経の無い歯が抜けるのは、歯根表面に感染が起きた時ですし、例え歯が生きていても、歯根表面に感染を起こすと抜けてしまいます。歯周病もこの仲間の病気です。
そして、歯根表面に栄養を送っているのは歯の外側の血管なので、神経を取っても影響は届いています。
神経を取って脆くなるのは歯肉から上に出ている部分だけ。だからしっかりした土台を立てて冠を被せるのです。